スウェットロッジというのは、
母なる大地の子宮内で体、精神、魂を浄化し、もう一度新しい自分に生まれ変わるという
ネイティブアメリカン伝統のセレモニーです。
母なる大地の子宮を表現した半円球状のドーム(ロッジ)を完全な暗闇状態に密閉し、
その中心に真っ赤になるまで焼いた地球上の最古の存在である石を入れ、
地球の最初の薬(ファーストメディスン)である水を焼け石にかけることで
水は勢いよく蒸発し、その熱い蒸気が充満したロッジの中で、
みんな一体となって歌い、一人ひとり祈りを捧げます。
大鹿村にいたとき、この神聖な儀式に参加する機会に恵まれました。
当初はスチームサウナのようなものを想像していたのですが、
実際にはとてもそんな生やさしいものではありませんでした。
1ラウンドから4ラウンドまで1回に数個の焼け石を4回に分けて入れていき、
祈りを捧げたり、歌を歌いながら水をかけてロッジに蒸気を充満させていくわけですが、
その高温の蒸気が息を吸う度に鼻や喉に入り焼けつくように熱く、
皮膚にも突き刺さるように蒸気がまとわりつき、熱いというより痛いくらいでした。
後半になると熱さと酸欠で意識がもうろうとしてきて、
なんとか呼吸をするのがやっとという感じ。
4ラウンドが終わり外に出たときにはとても立っていられる状態ではなく、
目を開けても真っ白で、寒さも冷たさも感じることなく
雪の上にほとんど裸同然でしばらく座り込んでいたと思います。
やっと正常な意識と視界が戻ってきたころ、
雪の大地と周囲を囲む木々と鳥の鳴き声とゆっくりと動く雲が浮かぶ空の
何とも言えない静けさを感じ、自分の周りに広がる自然を
愛おしく思ったのを覚えています。
スウェットロッジは、儀式を執り行うリーダーや
ロッジの中の顔ぶれや人口密度、座る位置などによってその都度状況は変わってきます。
私は2回の機会に恵まれましたが、どちらもリーダーは違う人で、
ロッジの中の顔ぶれや人数も違い、当然ながら座る位置も違ったので、
2回の印象はぜんぜん違うものとなりました。
ちなみに先に書いた体験は、私が経験した2回のうちけっこうハードだったときのもので、
儀式の最中、特に後半はスピリットとのつながりを感じるとか
祈りを捧げるという余裕はまったくなく、正直なところ第4ラウンドなどは
ただひたすら熱さと闘いながら「早く終わって〜」という気持ちしかなかったです。
他もう1回の時はやさしい感じだったので最後まで余裕があり、
歌や祈りにも集中することができましたが、逆に物足りないくらいでした。
いずれにしろどちらも貴重な経験をすることができたと思っています。
※大鹿村のスウェットロッジは関係者のみで行われています。
一般には解放されていませんのでご注意ください。