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きび刈りバイト@西表島

昨年の12月から今年の3月くらいまで、
沖縄は西表島でさとうきびの収穫(通称きび刈り)のバイトをやってきました。


住み込みバイトの中ではきび刈りは結構有名で、
私もだいぶ前から知ってはいたのですが実際にやるのは今回が初めて。

さとうきび
さとうきび畑


さとうきび畑と聞くと、ざわわ〜ざわわ〜♪ なんて感じで
さとうきびがそよ風にゆられるのどかな風景をイメージする人もいると思うけど、
その裏では、汗だく泥まみれでせっせと働く農家の人たちがいるのです。

少なくとも収穫作業に関して言えば
そんなのどかなイメージとはまったく違う世界です。



朝はだいたいどこの農家も8時くらいから仕事開始。

午前中の仕事はさとうきびをナタでバシバシ切り倒していく
通称“たおし”と呼ばれる作業。

何本か切り倒したら、それを所定の位置に運び出して
さとうきびの山を作って行きます。

さとうきびをナタで倒して、数本まとめて運び、山に積み重ね、
ある程度山が大きくなったらまた新しい山を作る、という作業を
ひたすら繰り返します。

テキパキ、シャキシャキ体を動かす完全な肉体労働です。


きび刈りは作業中にハブに出くわすことがたまにあるけど、
この“たおし”をやっているときに目の前にいきなり出現するパターンが多いです。

きびの根元にはきびの枯れ葉が積もっていて、
たおす時はその枯れ葉を払いのけてから根元を切ります。

厄介なことにこの枯れ葉の下にハブがいるのです。

横で一緒に作業していたきび刈りベテランのOさんのところに出てきたときは、
ナタの側面でハブの頭を何度も力強くぶっ叩いて、その場で即死させていました。

ハブの亡骸は、畑の近くの木によくとまっている
天然記念物のカンムリワシの近くに持っていくと食べに来たりします。

Oさんや親方のところには何度か出てきたけど、
幸い、私のところには最後までハブは現れませんでした。


たおしの作業は仕事開始からひとまず10時の休憩まで。

最初の1ヶ月くらいはまだ体力もついてないし、いまいちコツもわからないので、
この朝一の2時間でかなりの体力を消耗します。

晴れの日だと開始早々汗だく、2時間汗かきっぱなしでびしょびしょ、
水がぶ飲み、たぶん相当なカロリー消費量だと思います。


だいたいどこの農家もラジオを聴きながら作業をしているので、
時報の音に合わせてぴったり10時に休憩。

ボリュームたっぷりの朝飯を食べても、
この10時の休憩の時には小腹がすいてお菓子をバリバリ、お茶がぶ飲みです。


結構ゆっくりと休憩したあとは、ナタをカマに持ち替えて、
今度は“かさぎ”という作業に入ります。

かさぎは、休憩前に積み重ねて山にしたさとうきびを一本一本手にとって、
梢頭部(先端部分)を切り落とし、茎についている枯れ葉をはがす作業です。

茎だけになったさとうきびは積み重ねて束にして、
最後にロープできつく縛ります。

かさぎは最初のうちはぜんぜん作業がはかどらず、もやもやしてしまいますが、
慣れてくればだんだん早く、リズムよく出来るようになってきます。

さとうきび
かさぎ終わったきび。奥の方に見えるのはまだかさいでないきびの山


12時くらいまでかさいで、午前の作業は終了。

家に戻って昼食を食べます。

私がお世話になっていた家では、おばあが作ってくれる昼ご飯を毎日頂いていました。

他の家に手伝いに行ったりしたときは、手作り弁当や買ってきた弁当などを
手伝い先の家で用意してくれます。


ちなみに、きび刈り期間中の食事(朝と夕)は、
自炊をするか製糖工場に食べに行くかを選べます。

自炊の場合は日給6000円で食費込み。
工場の食堂に食べに行く場合は、日給5000円で食費は出してくれるというのが慣例。

私は製糖工場に食べに行ってましたが、この工場の食事が量が多いことで知られていて、
たとえばある日の朝食を例にとると、ご飯、具だくさん味噌汁(どんぶり)、
ハンバーグ、目玉焼き、キャベツ、煮物系のおかず、漬もの。

ハンバーグ&目玉焼きが特大ソーセージ×2に変わったり、
揚げ餃子×7の日もあったり。

ある日の夕食にはかつ丼とミートソーススパゲティ(これ両方?みたいな)が出てきたり、
たまに出てくるタコライスは特盛りで、その日の食堂はまるで大食い選手権みたい。

毎日が毎日そんな感じではないけど、タッパー持参して持って帰る人も少なくない。

私の場合はきび刈りでカロリー消費していたし、味はどれもおいしかったので
毎回難なく完食していました。


さて、話を元に戻します。

昼飯を食べて、午後は1時くらいからまたひたすらかさぎます。

かさぐきびがなくなってきたら、またきびを倒して山を追加。

そしてまたかさぐという感じで、3時の休憩をはさんで、
5時前にすべてのきびをかさぎ終え、一日が終了。


ちなみに、かさぎ終わって縄で束ねられたきびは、
大きなユニックがやってきて製糖工場に運ばれていきます。


きび刈りの一日はだいたいこんな感じです。

私はいくつかほかの農家にもよく手伝いに行きましたが、
始まる時間や終わる時間が多少速かったり遅かったり、
かさいだあとのきびの積み重ね方などに若干違いはあるものの、
基本的にはどこの農家も同じような感じでした。


休みは週一回くらいのペース。

休みの日でなければ、雨が降ろうとなんだろうと
カッパを着て長靴をはいて泥まみれになりながらでもやります。

スコールのようなゲリラ豪雨なみの雨が降ってたちまち畑が水没してしまい、
田んぼの中できび刈りをやっているような日も何回かありました。

今年は例年になく雨が多い年だったみたいで、
1月、2月はほとんど毎日カッパを着て作業していました。

たおしの時なんかは結構ハードに体を動かすので、
カッパを着て作業をしていると間もなく中が蒸れてきて、
カッパを着ているのに全身服がびしょびしょになってしまい、
おまけに乾かないので、そんな時の不快指数はかなり高め。


きび刈りは重労働で大変な仕事として知られているように、
腰や肩や腕、手のひらなどに徐々にダメージがきます。

人によっては最初のうち腕がパンパンに腫れたり、
ずっとしびれがとれなかったりすることもあるみたいです。

私の場合は、腫れやしびれこそありませんでしたが、
基本的にきび刈り期間中は、夜中ふと目が覚めると腕がずきずき痛かったり、
朝の起きたてはたいてい手のひらや指の関節が固まっていて
痛くて握れない状態でした。


西表のきび刈りは、農家にもよりますが、
だいたい1日で一人最低1トンというノルマがあります。

慣れてくれば普通に誰でも1トン以上できるようになりますが、
そのためには、いかに作業のスピードを上げるかを思考錯誤しながら、
私はとりあえず全力を心がけていました。

これはたぶん、みんな同じだと思います。

中には、きび刈りは「自分との闘い」とか「自分の限界への挑戦」とか言う人もいるけど、
実際やってみるとその意味がよくわかります。

たおしの時なんかは、いくらしんどくて途中で休みたくなってきても、
周りに後れをとるわけにもいかないので、めげそうになる気持ちと闘いながら、
10時の休憩まではガッツでのりきるわけです。

特に、まだ体力や筋力がなくいろんなコツもわかっていない最初のころや、
慣れてきてもやたらと暑い日や二日酔いの日などは
まさに自分と闘いながらやることが多かったような気がします。

過酷な練習を繰り返すことで肉体と精神を鍛えて
常に上を目指すアスリートのような感じというとちょっと言い過ぎかもしれませんが、
そういう意味では、きび刈りはスポーツみたいな要素があるかもしれません。

ちなみに、きび刈りは島によってもいろいろやり方が違うみたいで、
八重山諸島のなかでも特に西表は体育会系というかガツガツした感じで、
作業のスピードも速いらしく、西表できび刈りを経験した人が、
波照間や小浜などほかの島に行くととても重宝されるそうです。



なんのダメージもなかったロンTが4ヶ月でこのあり様


ここまで書いたものを読むと、
きび刈りはただきつくてしんどいだけの仕事に見えるかもしれません。

確かに人によっては1日、2日でやめて帰ってしまう人もいるみたいだけど、
逆にきび刈り好きのリピーターも実は少なくないのです。

実際に今回私が4ヶ月間一緒に仕事をしていたOさんも
きび刈り歴10年くらいのベテランだし、
私自身もまたやってみてもいいかな、と思っています。

私の場合はもともと空の下で自然に囲まれて汗かきながらする肉体労働、
特に第一次産業に関わる仕事が性に合っているので、
きび刈りも結構楽しみながらできました。

もちろん、上に書いたようにいろいろ大変な部分もあるけど、
1日の仕事が終わった後はとても清々しく、何とも言えない充実感があるのです。


しかし、良い面はそれだけではなく、きび刈りにはほかでは味わえない
きび刈り特有の面白さがあると私は思っています。

体力や筋力もついてきて、たおしやかさぎのコツも徐々にわかってきて、
ナタやカマの扱いにも慣れてくるにしたがって、作業のスピードが速くなってきます。

上達していく過程にももちろん面白さはあるけど、
それ以上に面白いのは、その作業のスピード感です。

特にかさぎは頭で考える間もなく、手が動きを覚えていて、
シャッ、シャッ、スパッ、シャッ、シャッ、シャ、みたいな感じで
次々ときびをかさいでいくあのスピード感は結構快感だったりします。

ほどよいサイズで扱いやすく、
しかも枯れ葉が簡単にはがれてかさぎやすいきびだったりすると、
手が勝手に動いているような感じになり、そのスピード感はさらに楽しく快感で、
百本でも千本でもかさいでやるぜ!みたいな気分になってきます。

作業に没頭しすぎて、気が付くと
いつの間にかきびの残りが少なくなっていることもあります。

かさぎだけじゃなく、たおしをやっているときにも言えると思うけど、
作業をしているうちにアドレナリンが出てきて、興奮状態になり、
それが一種の快感を引き起こしているのかもしれません。

決して楽な仕事ではないし、お金がいいわけでもないのに
きび刈り好きのリピーターが意外と多いのは
たぶんこの辺に理由があるんじゃないかと私は思います。



さて、西表のきび刈りでほかに書き忘れてはいけないのは、
アフター5でしょうか。

つまり、お酒です。

私は翌日にひびくのが嫌だったのでほどほどにしていましたが、
たまに飲みすぎて二日酔いの状態できび刈りをするとほんとにしんどいです。

私がお世話になっていた家の親方はほとんど毎晩泥酔している人で、
夜中の2時、3時まで飲んでいても朝は8時からバリバリ働いていました。

たまに夕方くらいまで寝てる日もあったけど、
それにしてもほとんど毎日二日酔いできび刈りをするのはすごい。

島の人はタフです。

そんな親方が飲んでいた泡盛がこれ。



【琉球泡盛】直火請福(じかびせいふく)

親方だけじゃなく、私が西表で参加したどこの酒の席でも
通称「島(しま)」と呼ばれるこの泡盛が出てきました。

これも今回のきび刈りの良い(?)思い出です。

私は
この請福にさとうきびをつけた「きび酒」を作りましたが、
とてもおいしかったです。


ところで、泡盛は次の日には残らないという話があるけど、あれはウソです。

それなりの量を飲めばしっかり二日酔いになるので注意してください。



最後にきび刈りの道具を紹介します。

きび刈りグッズ

●ナタ(左)
これできびの根元をガンガンぶった切る。1日に数百回は振り下ろします。

●きび刈り専用のカマ(真ん中)
基本的な使い方は梢頭部(先端部分)をカマで切り落として、
先端の二股をきびに滑らすように動かして枯れ葉を落とします。

●手袋(右)
手のひらがゴムの結構丈夫な手袋だけど、2週間ももたない。
ちなみに軍手だと1日、2日で穴があいてしまいます。


きび刈りは、自然の中で汗かいて身体を動かすのが好きな人や
ジムとかじゃなくて働きながら自然に筋肉と体力をつけたい人、
野性的な感覚を呼び戻したい人などにおすすめです。





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